火を消すだけじゃない!消防の「部隊紹介」

消防知識

 消防にはたくさんの部隊(ポンプ隊・救急隊など)が存在します。これらはそれぞれ異なる役割を担っており、それぞれに応じた災害に出動します。

 そこで今回は、消防の組織にはどのような部隊が存在し、またそれらの特徴を説明していきたいと思います。これを知っておくと、自分がなりたい部隊について理解できるとともに、面接にも役立つこと間違いないです。また、今回は各隊の特徴を大まかにお伝えしますが、今後は各隊について詳しく説明する記事も作ろうと思っています。では、是非最後まで見ていってください!

自己紹介

 皆さんこんにちは。元消防士のヒロキです。私は東京消防庁で3年間働き、主にポンプ隊員として活動してきました。3年間の中で、東京消防庁で一番素晴らしいと言われる賞『消防総監賞』を受賞した経験を持ちます。そんな私が3年間で経験したことや、消防士になるためにどのようなことをしてきたのか(勉強面など)についてお伝えしていきます。消防に関する質問等があれば私のインスタグラムにDMしていただければなんでもお答えします

①ポンプ隊

 まずは消防の基本であるポンプ隊から説明します。なぜ基本と言われるかというと、消防士となったらまずポンプ隊員からキャリアをスタートするからです。私自身もポンプ隊からスタートしました。

 では、ポンプ隊とは一体どのような特徴があるのでしょうか?それは結論『何でも屋』です。これはどういう事かと言うと、ポンプ隊は多種多様な災害に出場します。火災現場は勿論、救助活動現場・救急現場(PA連携)・危険排除現場・緊急確認現場など様々な現場に向かいます。他にもハチの駆除や猫の救出など頼まれればなんでも行くのがポンプ隊で、これが『何でも屋』とも言われる所以です。ですので、ポンプ隊員としてたくさんの現場経験を積み、消防士としてステップアップしていくことが望まれます。

②はしご隊

 皆さんも子どもの頃に一度は憧れを持ったこともあるでしょう。私自身もはしご隊員として何度かはしご車に乗った経験があります。その際、訓練中にはしご車のバスケット上から見下ろす景色は素晴らしいものでした。

 では、はしご隊はどのようなことをするのでしょうか。まずは、皆さんも思いつくように高層ビル火災時に高所にいる逃げられない要救助者(助けを求める人の事)を助けに行きます。また、意外と知られていませんが、はしご車からも放水することができます。ですので、高層階での火災時に放水することもあります。さらに、無線中継という任務もあります。これは高速道路などのトンネル内で事故等があった場合に、トンネル内で活動する隊員と消防本部との間にたって無線をつなぐ役目を果たします。(トンネル内では無線が届かなくなる為)おそらく火災現場ではしごを伸ばす場面よりも、この無線中継の役割の方が実際には多いと思います。

③救助隊

 消防の花形であるのがこの「救助隊」です。私自身も救助隊員になり、多くの方の命を救うという目的を果たすために消防に入りました。これを見ているほとんどの人が救助隊志望だと思います。カッコ良く、そして規律正しい救助隊について解説していきます。

 救助隊は交通事故現場や列車の人身事故現場、そしてエレベーターの閉じ込め現場などの様々な救助活動現場に向かいます。それ以外にも勿論火災現場に向かいます。ただし、火災現場では、救助車からは放水ができないため、他のポンプ隊からホースを奪って火災現場に進入することが多々あります。その結果、ポンプ隊の人の中には救助隊を毛嫌いする人が多くいるのも事実です。

 そんな救助隊ですが、およそ500種類もの救助資機材を活用し多種多様な災害に対応しています。そのため覚えることも多く、救助隊になりたての若手は毎当番地獄のような日々を送っています。(私がいた署は救助隊のある消防署で、救助の資格を取り立ての若手職員が、救助の世界が辛くて何人もの救助を降りる人の姿を見てきました。)ただ、そんな苦しい時期があるからこそ、憧れを持たれ、より多くの命を救えることには違いありません。救助の資格を取るのも大変ですが、何よりも救助隊になってからが大変な世界ではありますが、ぜひ、あなたが志の高い人であれば目指してみてください。

④救急隊

 近年の日本は少子高齢化社会となっており、その影響で救急需要が増加しています。つまり、世の消防組織は未来の救急隊員を求めています。ですので、私個人の見解では、面接や論文時に「将来は救急隊になりたい」そう言うと合格する確率が上がるのではないかと思っています。(あくまで個人の主観です)そんな救急隊について解説していきます。

 救急隊はどの隊よりも出場が多い隊になります。1日で平均10件は出場し、そのため睡眠の取れない日も多々あります。その影響により疲労が溜まり、寿命が縮まるとも言われています。しかし、その一方でたくさんの現場に行くことで、多くの困っている人々を救っていることも間違いないでしょう。

 しかし、多くの現場に向かう救急隊ですが、そのうち本当に重症の方を扱うのはほんの一部にしか過ぎないことも事実です。軽い腹痛や、酔っ払いをはじめ、タクシー代わりに救急車を要請する人も多々います。ただそんな方に対しても心優しく対応するのが救急隊の仕事です。どんな症状、どんな相手に対しても優しく、そして適切な処置を行い、またいかに安心感を与えられるかが重要な仕事とも言えます。緊迫した現場では、傷病者に対しての処置は勿論、その家族に対する配慮も必要となります。ですので、救急隊員は技術や知識は勿論のこと、接遇もしっかりとしなければなりません。近年では男性よりも、より気遣いができる女性の救急隊員も増加傾向にあります。女性にしかできない強みもあると思いますので、これを見てる女性はぜひ、救急隊員も目指してみてください。

⑤指揮隊

 皆さんにはあまり聞き馴染みのない部隊だとは思いますが、実は災害現場において最も重要な部隊です。なぜ最も重要なのかも含めて、指揮隊について説明していきます。

 指揮隊に乗車している職員は主に「大隊長」「指揮担当」「情報担当」「伝令」「通信担当」という役割の職員となっています。役割の名前を聞くだけでもなんか重要そうな気がしますよね?それぞれの役割については後日詳しくお伝えしたいと思います。

 では、なぜ最も重要なのか。それは当務の最高責任者である「大隊長」が乗車してるからです。災害現場では実際に活動するポンプ隊や救助隊からの無線を聞いた指揮隊が大隊長に状況を伝え、その状況報告を受けて大隊長がそれぞれの活動隊に下命を下すのです。つまり、大隊長の指示に基づいて全ての消防活動が行われるのですなので大隊長が乗車している指揮隊が最も需要な部隊になります。

 ちなみに、今後お伝えする階級の話ですが、大隊長は『消防司令』の階級となり、これは当務中で最も高い階級となります。

 指揮隊で求められるのは適切な無線運用です。消防には無線用語があり、隠語であったり(252=要救助者etc)言葉の順序が決まっています。なので隠語を暗記したりするなど覚えることはたくさんあります。実際に火を消したり、誰かを直接助け出す隊ではありませんが、各現場でポンプ隊や救助隊などが円滑に活動するためには指揮隊の適切な無線運用が必要不可欠です。つまり縁の下の力持ち的な存在が指揮隊です。

⑥化学機動中隊

 名前の通り、化学災害に対応する部隊となっています。近年ですと、東日本大震災の時に発生した福島原発事故において、東京消防庁から化学機動中隊が派遣されました。名前通りの部隊ですが、少し解説していきましょう。

 化学機動中隊が活動するのはNBC災害(N=Nuclear、核・B=Biological、生物・C=Chemical、化学)と言われる災害現場で特殊な災害に出動します。なかなか出動の機会がなさそうな気もしますがそうでもありません。よく自◯する際に使われる、練炭自◯、硫化水素などの現場に出動し危険を排除します。そのため大きい特殊災害から小さい特殊災害まで数多くの災害に出動します。また、出動する際は特別な防護服を身に纏って出動します。この防護服は外からの空気を完全に遮断します。そのため夏場に着用するととても暑くなります。さらにこの防護服をしっかりと着用しないと、危険物質を吸引することになり「死」に至ることもあります。なので化学機動中隊を目指すことはとても危険な現場に向かうことを意識した上で、正しい知識と防護服の着装を身につけることが大切です。

まとめ

 いかがだったでしょうか?知っている情報は勿論、知らなかったこともあると思います。また今回話していませんが、消防は他にも『消防ヘリコプター』『消防艇』などの特殊車両も持ち合わせ、それぞれの隊があります(エアハイパーレスキューなど)。今回はざっくりと、各部隊の特徴やどのような活動をするのかについてお伝えしました。今後は各隊ごとの詳しい説明もしていきます。これを見た皆さんが、消防についてさらに詳しく知ることで、より消防士になりたい思いが強くなっていただければ幸いです。そしてこれからも私が持っている知識を全て公開するので面接や論文などに活用してください。

 それではまたお会いしましょう!

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